教科書を読むだけでは学力は上がらない
教科書や問題集、本を読んで学習した気になっていませんか?
Karpicke&Roediger(2008)は、単語を覚える学習、単語テスト、再学習、単語テストと繰り返し、その中で効果的な再学習の方法を検討している。
結果として、単語を読むだけの再学習方法より、何度もテストをくり返した再学習の方が得点が向上した。
さらに、
全ての単語を見直す→テスト
不正解だった単語を見直し、テスト学習→テスト
二つのグループでテストの結果を比較した。
その結果、全ての単語を見直していた群より後者のテスト学習をしたグループの方が、3割ほど学習時間が短かかったにもかかわらずテスト結果が良かった。
つまり、復習する際にテスト学習を用いることは、最小の努力で最大の結果につながると言える。
一方で、テスト学習と言われてもピンとこないだろう。
一般的にイメージされるテストは市販のものが多く、その都度買うとなると出費が多くなりすぎてしまう。
また、毎回テストを自作するとなると時間がかかる。
いずれにせよ、コストが大きくなってしまい効率的とは言えない。
テスト学習は頭の中で思い出すだけでOK!?
ここまで、効率の良い学習方法としてテスト学習を紹介した。
テスト学習についてCarpenterら(2008)の研究が参考になる。
Carpenterらは単語を覚える学習の復習として、小テストに心の中で答えるグループと、単語の意味の見直しを繰り返すグループを用意し、2つのグループの最終テスト結果を比較した。
その結果、心の中で答えた群は、意味を繰り返した群よりおよそ2倍も点数が良かった。
つまり、テスト学習は問題を見て、頭の中で解き方や、単語の意味を思い出すだけで十分効果があるということがいえる。
例えば英単語を覚える学習において、単語帳の単語を一度覚えたら、ある程度間隔をあけて(分散学習)、覚えた単語をもう一度見る。
そして、その意味を頭の中で思い出す。
これで単語学習はOKであり、覚えている単語を何度も何度も書くことは時間のムダなのだ。
子どもにとって学習がつまらないことや、苦手なことと認識される理由の一つに、辛い思いをして頑張った割に結果につながらない。
ということが挙げられる。
我々大人は、子どもを長時間机と向き合わせることを目標にしてしまいがちだ。
そうではなく、効率的で結果につながる学習方法を子どもに伝えることで、子どもが学ぶ楽しさを感じることに重点をおくべきなのだ。
参考文献:竹内龍人(2019)漢字学習から算数、英語、プログラミングまで 進化する勉強法,誠文堂新光社.
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