「〇〇を頑張る」という目標は役に立たない

子育て
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「○○を頑張る」という目標が役に立たない理由

学習やスポーツなどの成績を高めるにあたって、目標を設定することは極めて重要である。

一方で目標を設定するときに陥りがちなミスが、「勉強を頑張る」や「本読みを頑張る」などのような「○○を頑張る」という目標を設定してしまうことだ。

Locke&Lathman(1990)によると、「頑張る」という目標を立てるより、学習者の現在の能力より難しめの目標を設定する方が良い結果につながるとしている。

「○○を頑張る」という目標の何がいけないのだろうか、それは、達成基準がわかりにくい、ということだ。

つまり、何をどこまでやれればOKということがあいまいなため、学習者は自分がやるべきことがわからず、途方に暮れる。

また、指導者は、その人の基準で学習者を評価することになり、評価基準がブレてしまう。

結果として目標が達成されることはなくなる。

適切な目標設定

それでは、どのような目標を設定することが、よい結果につながるのであろうか…

まず考えられるのが「○○を頑張る」という抽象的な目標を、具体的なものに置き換えるということである。

例えば、

「漢字のテストで100点をとる」

「九九の百ます計算を3分以内でできる」

「体重を5キロ落とす」

などのように数値を決めると具体性が増す。

具体的な目標は、どこまでできていたらよいかが明確になる。

これによって、目標を達成するために何をするかという手段にもつながりやすい。

一方で漢字テストが現状30点の子どもが、「漢字テストで100点をとる」という目標を立てたらどうなるであろうか。

始めはたくさん練習して、100点に近い得点をとるかもしれない、しかし、なかなか目標を達成できないと、目標をあきらめることになり、自尊心を低下させるという結果につながりかねない。

ここから、目標の難易度設定も重要ということがわかる。

目標の難易度は激甘

目標の難易度は、学習者の状態や、最終的に何を達成したいのかによって変わってくる。

一つの指標として、Burns(2002)はドリル学習の効果が高くなるのは、学習者がすでに知っている内容が9割は含まれている方がよく、5割を下回ってはいけないとしている。

また、Gickling(1984)は読解の学習において、学習者がすでに知っている単語95%以上で構成される文章を設定する必要があるとしている。

これらの研究から、設定する目標は学習者がすでに9割できていることとするのが、学習者のモチベーションを高め、よりよい結果につながるには重要と言える。

スマホなどのゲームを思い出してほしい。

ゲームにハマるのは、やり始めとても簡単で「できた!」という達成感を積み重ねやすいからである。

また、毎日甘いお菓子を食べている人が、今日からお菓子を食べないという目標を立てても達成されにくい理由がここにある(達成されず、結果が出にくい目標はやる気がなくなる)。

子どもが学習を楽しいと感じ、続けてみようとモチベーションを高めるためには、少し頑張ったら「できた!」という目標を一緒に考えて設定することが重要である。

参考文献:John Hattie (訳:山森光陽)(2020)教育の効果 メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化,図書文化社.

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