新版K式発達検査
ここでは、発達相談や1歳半健診、3歳児健診でも使用されることのある新版K式発達検査を中心に述べる。
新版k式発達検査は、1951年、京都市の児童院で考案された。
もともとは、1歳未満から14歳までを対象にした検査であったが、2002年には改良が進み、成人までその範囲が拡大されている。
検査項目
検査項目は、姿勢・運動領域、認知・適応領域、言語・社会領域の3つに分けられる。
姿勢・運動領域
この領域は、両足跳びや交互に足を出す、ケンケンなど、主として身体機能の発達を見る課題で構成される。
認知・適応領域
この領域は、図形の模写や、積み木を組み立てたり折り紙を折ったりするなど、主としてモノの認知や操作を中心とした課題で構成される。
言語・社会領域
この領域は、物や色、動物、などの名前を答えたり、「お腹の空いた時は、どうしますか」のような、ある場面でどの様に行動するかを言語化することが求められる。
主として、言語を用いた認知や操作を中心とした課題で構成される。
知能検査との違い
知能検査として一般的に用いられるウェクスラー式知能検査は、同じ年齢集団の中で検査を受けた者がどこに位置するかを算出する検査である。
それは、中学校の定期テストで自分の順位や偏差値が出るのと似ている。
一方で新版K式発達検査は、検査を受けた者が時間とともに発達していく連続体のどこに位置するかを調べる。
つまり、検査を受けた者が、発達の道筋があると仮定した時、その道筋のどこに位置するのかを明らかにすることができる。
これによって、子どもの発達がどこでつまずいており次にどの様な支援をすると新たなスキルを獲得できるのか、またつまずきを補う得意なスキルは何か、などがわかる。
遊びを通して実施可能
さらに、この新版K式発達検査の特徴として、質問紙を使わず遊びを通して実施することが可能であることが挙げられる。
これは、子どもの自然な状態を見ることができる遊びの中において、その子本来の力が発揮されることから重要である。
子どもと信頼関係を築いている者が検査を実施することで、その精度はさらに向上すると考える。
また、検査項目の実施順序が決まっておらず、子どもに合わせて検査を柔軟に実施可能であることもその特徴である。
これらの特徴から、新版K式発達検査に関する知識を親や保育士が身につけることで、早期に子どもの発達のつまずきに気がつくことが可能となる。
子どものつまずきに対する早期の支援は、その子の将来に大きな影響を与えるという点から、子育てにおいて発達検査の視点は重要といえる。
参考・引用文献:大島剛・川畑隆・伏見真里子・笹川宏樹・梁川惠・衣斐哲臣・菅野道英・宮井研治・大谷多加志・井口絹世・長嶋宏美(2017)発達相談と新版K式発達検査 子ども・家族支援に役立つ知恵と工夫,明石書店. 中瀬惇(2017)新版K式発達検査にもとづく発達研究の方法 操作的定義による発達測定,ナカニシヤ出版.
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