子どもが何を伝えたかったのかわからない…
子どもが家に帰ってきて、親に学校であったことを話すが、結局何を言いたかったのかわからない…
学校の休み時間にトラブルがあり、その時のことを子どもに話してもらうも、何があったのか…
ということが、教育にたずさわる者であるなら、誰しも1度はあるのではないだろうか。
その要因として、子どもが出来事を順序立てて話すスキルが未獲得でるということがあげられる。
子どもが順序立てて話せるようになるトレーニング
お話並べ
子どもが順序立てて話すことができるようになるためのトレーニングとして、お話並べ(谷,2018,P162)がある。
お話並べとは、複数の絵や写真を時系列順になるよう並べ替えるトレーニングで、以下の順で進める。
- 一連のストーリが描かれている絵または写真を用意する。
- ⒈の絵または写真をバラバラにした状態で子どもに提示する。
- 左から順に、時系列になるよう並べ替えるよう伝える。
- 全て並べ替えたら、ストーリーを話すよう伝える。
ここでおさえておきたいことは、初めは子どもが知っているストーリーを使うことである。
歯磨きや食事、お風呂などの日常の場面を切り取ったストーリーを用意すると、子どもが想像しやすく答えやすい。
さらに、⒋で子どもが並べかえたカードを元に話をする際に、登場人物や自分の気持ちも話すよう促すことで、相手や自分の気持ちに気付きやすくなることが期待される。
「次はどうなる?」
お話並べができるようになったら、次は「次はどうなる?」に答えられるようにトレーニングを行う。
手順は以下の通りである。
- お話並べで用意したような、一連の物語になっている絵または写真を時系列順に並べて裏返しておく。
- 一番左のカードを表にし、「何をしているところ?」と尋ねる。
- ⒉に子どもが答えられたら、次の裏向きのカードを指差し「次はどうなる?」と尋ねる。
- ⒊に答えられたら、そのカードを表向きにする。
この「次はどうなる?」でも、お話並べ同様、既に子どもが知っている場面でトレーニングをすることが望ましい。
また、カードが裏向きの状態で「次はどうなる?」に答えられない時は、カードを表向きにしてヒントを出すと絵を頼りに応えることができる。
「どうして?」
最後に「どうして?」に答えられるようトレーニングする。
手順は以下の通りである。
- 「次はどうなる?」の⒈と同じ。
- 一番右側のカードを表にし「何をしているところ?」と尋ねる。
- ⒉に答えることができたら、「どうして〇〇しているの?」と尋ねる。
この「どうして?」では、子どもは最後のシーンから物語全体を想像する必要がある。
もし、全体を想像するのが難しい時は、裏向きになっているカードの一部を表にするなどのヒントを出すなどすると、各場面を思い出し、答えることができるかもしれない。
本の読み聞かせを通して育む
ここで紹介した方法は、本の読み聞かせを通して実施することも可能である。
絵本を開き、挿絵を子どもに見せたら、本文を大人が読む前に子どもに「何をしているところ」と尋ね答えさせる。
また、次のページをめくる前に「次はどうなる?」と尋ねる。
さらに、本の表紙を子どもに見せ、どんなお話か想像させるのも良いかもしれない。
普段何気なく取り組んでいる読み聞かせも、大人が意図的に働きかけることで子どもの力をのばせる可能性があるのだ。
参考・引用文献:谷晋二(2018)はじめはみんな話せない 行動分析学と障がい児の言語指導,金剛出版.
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