不登校は子どもの怠けが原因ではない
不登校の子どもの中には、朝起きるのがとても辛くて学校に行けない。
かと思いきや、夕方になるととても元気で、夜遅くまでゲームや動画を見てしまっているという子がいる。
一見、その子のわがままや怠けが原因のように思われる。
しかし、その状態は「心身症」からきているかもしれない。
心身症とは
心身症は「身体疾患のうちその発症と経過に心理社会的因子が密接に関与し、気質的ないしは機能的障害の認められる病態を呈するもの。ただし、神経症やうつ病などの精神障害に伴う身体症状は除外される(1991)」と定義される。
つまり、心理的なストレスによって、体の内側を調整する機能が上手く機能しなくなり、その結果身体のどこかに不調をきたす病状と言える。
この心身症には以下の様な症状が含まれる。
- 起立性調節障害
- 緊張型頭痛
- 片頭痛
- 過敏性腸症候群
- 過換気症候群
中でも起立性調節障害は不登校の子どもの3〜4割にあるとされ、心身症と不登校は密接に関係すること言える。
不登校と起立性調節障害
起立性調節障害は小児心身症の中で、最も起こる頻度が高い疾患である。
その病状は、冒頭であげた様な状態を含め以下の通りである。
- 朝起き不良、寝つきが悪い
- 立ちくらみ
- 頭痛、動悸
- 食欲不振
- 失神 (田中,2021,P64図3-1)
起立性調節障害が起こる理由
朝起きた時、一般的に人の体内で起こっていることが以下の通りである。
- 目覚めて立ち上がる。
- 体内の血液が下半身に移動する。
- 即座に自律神経が働き、血管を収縮させる。
- 上半身に血液が戻る。
- 結果、血圧が下がりすぎない。
この流れの中で、重要な役割を果たすのが自律神経である。
起立性調節障害の子どもは、身体の面、心理社会的な面の両面から自律神経が上手く働かない。
その結果、先にあげたような病状が発生する。
心身症の治療
心身症はその定義からもわかる様に、様々な要因が重なり合って生じる。
医療機関を受診する他に、家庭や学校など複数の視点からサポートしていくことが重要である。
病状から、親子関係や友人関係に溝が入ったり、学業の遅れ、不登校につながりやすい。
原因を子どもだけにもとめるのではなく、包括的な視点から子どもの状態を把握した上で、早期の支援が求められる。
まずは、病状を理解し、子どもに「つらかったね」と声をかけることから始めたい。
参考・引用文献:田中英高(2021)子どもの心の発達を知るシリーズ⑤心身症の子どもたち ストレスからくる「からだの病気」,合同出版株式会社.
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