子どもの将来に影響を与える社会情動的スキル

子育て
【スポンサーリンク】

これからの世界を生き抜くために必要とされるスキル

将来を予測することが困難と言われる、これからの世界を生き抜いていく上で、私達に必要とされるのが認知的スキルと社会情動的スキルである。

特に社会情動的スキルは、予測しなかった出来事への対応、多様な要求への対処、衝動の制御、他者と効果的に関わる上で重要なスキルとされている。

この社会情動的スキルに関しては、遺伝的要因が大きく影響を与えることがわかっている。

一方で、幼児期から青年期にかけて、その人がおかれた教育環境も重要な要因となる。

なぜなら、この時期の子どもの脳は柔軟に変化しながら、発達していく途上にあるからだ。

社会情動的スキルとは

社会情動的スキルとは、OECDにおいて、「a)一貫した思考・感情・行動のパターンを発現し、b)フォーマルまたはインフォーマルな学習体験によって発達させることができ、c)個人の一生を通じて社会経済的成果に重要な影響を与えるような個人の能力」と定義される。

社会情動的スキルは、大きく以下の3つから構成される(OECD,2021)。

  • 目標の達成(忍耐力、自己抑制、目標への情熱)
  • 他者との協働(社交性、敬意、思いやり)
  • 感情のコントロール(自尊心、楽観性、自信)

つまり社会情動的スキルとは、その人の人生に大きく影響を与えるもので、不変的なものではなく学習によって高めることができるものである。

社会情動的スキルが影響を与えるもの

社会情動的スキルが影響を与えるものを以下に記す。

  • 肥満
  • うつ
  • 問題行動
  • いじめ
  • 人生の満足度
  • 生活習慣

こうしてみると、どれもその人の人生において重要な事柄であり、社会情動的スキルを高めることの必要性がわかる。

社会情動的スキルを高めるには…

家庭でできること

  • 子どもの学習に親が関わりをもつ(家庭の学習環境を整える)。
  • 家庭の中の調和を保つ(親子において、お互いの意見に耳を傾ける)。
  • 家族で刺激となる活動をする(休みの日には外出し様々な体験を共有する)。

学校でできること

  • SAFEーsequenced(連続的)、active(活動的)、focused(集中的)、explicit(明白)ーの原則をともなった学習実践を組み込む。
  • 演劇やダンス活動などの芸術活動を行う。
  • 学級運営(係活動)や学校運営(委員会活動)に参加する機会をつくる。

ここで示した社会情動的スキルを高める方法は、既に家庭や学校現場で実践されていることが多数含まれていることがわかる。

一方で、家庭や学校で行われる教育活動において、社会情動的スキルのどの部分に働きかける実践なのかを意識しながら子どもと関わっている教育者は少ないのではないだろうか。

社会情動的スキルに関して、わかっていないこと

ここまで社会情動的スキルについて述べてきたが、わかっていないことも多いのが現状である。

  • 学習環境、スキル、成果これら3つが影響を与え合っているという証拠は少ない。
  • スキルが長期的(最短10年)に見て、どのような影響を与えるかを評価した研究は少ない。
  • 異国間でスキルを確実に測定する手段が存在しない。

こうしてみると、社会情動的スキルは人生において重要である一方で、どのようにその人の人生に影響を与えているのか、また、それを高めるためにはどのようなことをしたらよいのか、と言ったことは研究の途上であることがわかる。

テストなどで測定することが困難なスキルをどのように数値化し、実践とともにデータを蓄積していくかが今後の課題と言える。

参考・引用文献:経済協力開発機構,ベネッセ教育総合研究所(企画・制作),無藤隆・秋田喜代美(監訳),(2021),社会情動的スキルー学びに向かう力,明石書店.

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

社会情動的スキル 学びに向かう力 [ 経済協力開発機構(OECD) ]
価格:3960円(税込、送料無料) (2021/11/22時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました