発達性強調運動症/障害(DCD)
自閉症児の中には、字をノートのマスに上手く収められない子、ボールを遠くに投げることが難しい子のように、運動面に困難さのある、いわゆる「不器用」な子が存在することは昔から言われてきた(Asperger,H)。
上記のような自閉症児の不器用さは、発達協調運動症の合併ということが考えられる。
発達協調運動症とは、
- 運動協調を必要とする日常的な運動の技能が、暦年齢や知能から期待される水準に比べて著しく劣っている。
- 運動の技能の問題により、学業生活や日常生活の活動に明らかな支障がある。
- 脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの身体疾患・神経学的障害によるものではない。
上記3点が診断基準となる(森,2012)。
自閉症児において、この発達協調運動症であるとされることが多いとういことが一貫して指摘されている(平田,2018)。
不器用さが引き起こす問題
発達協調運動症が引き起こす問題として、体の動きをコントロールすることが難しく、休み時間の外遊びや工作、体育、音楽のリコーダーなどで失敗経験を積み自尊心を低下させるということがあげられる。
さらに、低下した自尊心は抑うつや、授業からの逸脱、不登校などの二次障害につながりかねない。
自閉症児の不器用さとの関わり方
自閉症児の不器用さが生じる要因は、新規の運動課題への対応問題ということがあげられる。
この時、その課題に慣れることでスキルが獲得されることが期待される。
また、難易度や環境の設定を工夫することも重要である。
その子どもにあった難易度、段階の課題を用意することで、スモールステップでスキルを獲得していくことが可能になる。
また、その子の苦手な部分を補うような環境を用意する。
例えば、リコーダーが苦手で上手く音が出せない時、穴を塞ぐのをアシストするシールが売られており、それを活用するなどが考えられる。
不器用さは設定する課題や環境設定でクリアしていくことができる。
不器用だからという曖昧な言葉であきらめるのではなく、その子にあった教育を提供することが重要である。
参考文献:北洋輔・平田正吾(2019)発達障害の心理学ー特別支援教育を支えるエビデンス,福村出版株式会社.
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