感覚の問題が引き起こすイライラや不安
- 誰かに触れられると、怒ったりイライラしたりする。
- 散髪、歯磨き、爪切り、耳かきを嫌がる。
- 突然大きな音がすると非常に怖がる。
- 食べるものが限定されている。
上記の様な感覚を上手にキャッチできないことから生じるトラブルは、自閉症児・者にとって身近な困り感である。
自閉症の診断項目にもあげられる感覚の問題
自閉症の感覚の問題は、以下のような言葉で診断項目としてあげられている。
「感覚刺激に対する過剰または過小反応、または環境の中の感覚的要素に異常な興味を示す(痛み/熱さ/冷たさへの異なる反応、特定の音や感触への嫌悪反応、物を過剰に嗅いだり触ったりする、光や回転するものに魅了される、等)」
DSM–5
感覚の問題は三者三様
感覚は外界の情報を、目や耳、肌などを通してキャッチし、それを脳で理解、解釈することで生じる。
外界の情報の理解、解釈の仕方は人によって異なり、誰かに触れられることを極端に嫌う人がいれば、逆にギュッと抱きしめられることを好む人もいる。
音の好き嫌いもその人によって異なり、とにかく大きな音が苦手だという人もいれば、救急車の音がどうしても耐えられないと特定の音を苦手とする人もいる。
このことは、診断項目の「過剰または過小反応」という言葉からもわかるように、その人によって感覚の理解、解釈の方法は異なっている。
つまり、我々支援者が感覚の問題にアプローチするにあたって、その人の感覚情報の受け取り方を知ることがはじめの一歩となる。
感覚の問題が生じる原因
Rogers & Ozonoff(2005)は自閉症の感覚の問題が生じる原因を以下の4つに整理している。
- 過覚醒理論(刺激に対する反応が大きく、慣れるのも遅い。)
- 低覚醒理論(刺激に対する反応が小さい。)
- 知覚変動理論(場面や刺激の種類によって反応の大小が異なる。)
- クロスモーダル理論(複数の刺激に対する反応が難しい。)
現場で子どもたちと関わっていると、その子のできにくさを上記の原因いずれか1つで説明することは難しいことがわかる。
一方で、その子の感覚の問題がどのような原因で生じているか大まかに理解することはできる。
また、日本感覚インベントリー(Japanese Sensory Inventry Revised:JSI–R)(太田,2004)のような標準化されている質問項目を活用することで、より詳しく理解することができる。
理解が詳細で具体的になるほど支援の幅も広がるのでおさえておきたい。
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