子どもが「仲間はずれ」を正当化するとき
まず、子どもたちは「仲間外れにする」という行動が悪いことであるということは理解している。
しかし状況によっては「仲間外れにする」ことを正しいと考えることがわかっている。
「仲間外れ」が悪いとされる
→集団の中で不公平が生じる場合
「仲間外れ」がよしとされる
→集団のルールを守ろうとする場合
「仲間外れ」が重要な意味を持つ思春期
思春期以降の子どもたちにとって仲間集団は非常に重要な意味をもつ。
それはこの時期の子どもたちは、他者との比較や同一視を通して自分のアイデンティティを確立していくからだ。
その結果、この時期の子どもは、他者との類似性や異質性に敏感で、同じ性質をもった友達と集団を作ろうとする。
また、自分が所属していない他集団に対しては攻撃的になる。
集団の斉一性を保とうとする力は、「仲間外れ」はよくないとする力に勝る。
その結果、「仲間外れ」が正当化されてしまう。
小学校高学年から中学生にかけて、いじめが頻発するのは、この時期特有の人間関係が関係しているとする研究者も多い。
小学生と「仲間外れ」
小学生の段階においても、「仲間外れ」は悪いと判断される。
一方で、仲間外れにされた子どもも性格を変えるべきと考える傾向が強い。
この考え方は、「クラスのみんなは平等で、同じように褒められたり叱られたりするのが当然」と考えるような集団斉一性の高い子ほど顕著であることも示されいる。
小学生は、原理原則で物事をとらえ、他者のありのままを受け入れる柔軟性はまだ確立されていないといえる。
学校教育が「仲間外れ」に加担する
日本の学校教育は、上記のような「みんな一緒が当たり前」という考え方を育むような体制になっていると言っても過言ではない。
一方で合理的配慮のような、子ども個々の特性に合わせた環境を用意しようとする動きもある。
1つの競技で全員を1位にするのではなく、子ども一人一人が強みを活かせる様々な競技を用意することで、その子の特性を発揮できる場面が確保されるような教育を目指したい。
参考文献:長谷川真里(2018)子どもは善悪をどのように理解するのか?ー道徳性発達の研究,株式会社ちとせプレス.
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