自己肯定感とは
自己肯定感とは、“自分が自分であることに満足し、価値ある存在として受け入れられること”(中島,2021,P8L8)をさす。
この自己肯定感は安定しているものではなく、時と場所によって上がったり下がったりするものである。
また、人によって自己肯定感が高い人、低い人がいるということもわかっている。
人が落ち込む時
アメリカで行われた心理学の研究によると、私たちは1日に6万回の思考を行なっており、その内の約80%の4万5千回は、身を守るためのネガティブな思考になる傾向があるそうだ。
このネガティブな思考を、自己肯定感が低下している時にもつと、出来事を否定的にとらえ行動は消極的になってしまい、いわゆる「落ち込む」という状態におちいる。
つまり、自己肯定感の上がり下がりをコントロールできると、気分の落ち込みにも対処できるといえる。
自己肯定感が親子で受け継がれる?
自己肯定感が低い人の中には「自分の親も自己肯定感が低かった…」と思う人がいるかもしれない。
これは、心理学でいう「観察学習」や「モデリング」という言葉で説明できる。
私たちは何かを学習するとき、他者の行動を手本にする。
つまり、他者の行動に対し、その人がどのような思考のもと行動したのかを推測し、その行動の結果何を得ているのかを観察して学習しているのである。
子どもの頃(特に幼少期)は、観察する他者が最も身近にいる親になるのは必然である。
さらに、人の考え方の土台が形成されるのが幼少期ということから、その人の自己肯定感に与える親の影響力は大きいといえる。
親の口癖や生活スタイル、そういったものを子どもは吸収して受け継ぐことが多く、自己肯定感の高低も連鎖する可能性が高い。
自己肯定感の高低が世代間で受け継がれる一方で、それを断ち切ることも可能である。
自己肯定感を高めたり安定させたりする方法
ここでは、中島(2021)で紹介されていた方法をいくつか紹介する。
パワーナップ
コーネル大学の社会心理学者ジェームズ・マースが提唱する仮眠方法である。
人間は睡眠不足になると身体的だけでなく、精神的にもパフォーマンスが低下するのは、みなさんご存知の通りである。
この睡眠不足におちいらないため、昼休みなどの休憩時間を活用して仮眠をとる方法がパワーナップである。
何と、たった15〜20分の仮眠、または目を閉じてじっと休憩するだけで、夜の3時間の睡眠に匹敵すると言われている。
短時間の睡眠であれば、子どもも大人も可能であり、目を閉じている間、自分の呼吸に注目するなどしてマインドフルネスの要素を取り入れると、注意集中力の向上にもつながることが期待できる。
リフレーミング
物事の見方を変えるときにリフレーミングするという言葉を使う。
ここでは、大人と子どもとの関わりにおいて「否定語を肯定語に変える」ということに焦点をあてる。
よく大人が子どもに「走らない!」や「なぜ〇〇ができないの!」という否定語で関わっているのを耳にする。
否定語は、失敗や不安、恐れといったイメージにつながる。
この大人から子どもに向けられたメッセージは、次第に子ども自身の内なる言葉に置き換わっていく。
つまり、否定語を継続して浴びせられた子どもは、否定語で自分を評価するようになる。
よって、「なんで自分は〇〇ができないのだろう…」と自己肯定感が低下しやすくなる。
そういった状況に子どもを陥らせないためにも、大人は「歩きます!」「〇〇するよ」など肯定語で関わることが重要である。
上記2つの他にも多様な方法が中島(2021)には紹介されている。
自己肯定感は決してコントロールすることができないものではなく、自分自身の気づきで調節することができるものである。
一方で、自己肯定感は目に見えないので気付きづらいし、どうトレーニングしたら良いか具体的にするのが難しい。
だからといって、ないがしろにするのではなく、自己肯定感がどのように人生に影響を及ぼすのか、また、その子にあった自己肯定感のコントロール方法を子どもと一緒に考えることが重要だと考える。
参考・引用文献:中島輝(2021)何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書.SBクリエイティブ株式会社.
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