恥に基づく怒り(爆発的な怒りグループ)
あなたは以下のような考えをもったことがないだろうか。
- 自分はダメな人間である
- 自分は他者と比較して劣った存在だ
- 自分の居場所はどこにもない
- 自分は愛されていない
- 自分はいない方がよかった…
これらの考えは、恥によってもたらされる。
恥とは
恥は、自分が人として不完全であるという考えをもたらす有害な感覚である。
「顔が赤くなる」「下を向いて視線を外す」「会話が難しくなる」「腹痛が起こる」など恥によってもたらされることがある。
一方で、失敗を恥じることで次は頑張ろうなど、恥には自分を鼓舞する側面もある。
恥と怒り
恥と正面から向き合うには覚悟が必要となる。
結果として、多くの人は恥と向き合うことを回避する方法を身につける。
それは、逃避や否認、傲慢な態度、ものや人への依存、完璧主義などのような形で現れる。
その中に怒り(自己愛的な激怒)も含まれる。
恥にとらわれている人は自分に対して自信がなく、極端に防衛的になる。
たとえ会話の途中であったとしても、恥を感じた際には激怒することで自分の身を守ろうとする。
激怒は自分の身を守るための手段として非常に効果的な手段である。
激怒した時はもちろん、その後も自分のことを怒らせまいと相手に距離を取らせることができるからだ。
しかし、この激怒によって最終的にもたらされるものは孤立である。
恥に基づく怒りを止める方法
恥に基づく怒りを止めるためは、恥と怒りの結びつきを断つ必要がある。
まず結びつきを明らかにするために、自分が恥を感じる場面を特定する必要がある。
恥を引き出すものは、特定の人かもしれないし言葉かもしれない、また、自分の大切な何かが脅かされいる時かもしれない、それを明らかにする。
次に恥から生じた怒りによって、どのような行動をしているかを明らかにする。
大声で相手を威圧しているかもしれない、物にあたるかもしれない、または黙り込んでしまうかもしれない。
恥と怒りの結びつきを断つ最良の方法は、怒りがフツフツと込み上がってきた時「自分は今、何に恥を感じているのだろう?」と自問することだ。
この問いを自分に投げかけることで、恥と怒りでいっぱいになっていた頭の中にゆとりができ、怒りと距離を取ることができる。
恥を和らげる
先にも述べたように恥にはよい側面もある。
恥が健全に働く時、小さい形で現れ、短期間で消える。
そのような恥は、自分をより望まい状態へと導くため何をすべきか教えてくれる。
つまり、恥を全て取り除くことではなく、管理できるレベルまで和らげることが重要となる。
恥を和らげるための5つの言葉(ポッターエフロン,2021,P92を参考に記述)
- 自分はよい
- 今の自分で十分である
- 自分は愛されている
- 自分は〇〇の一員である
- ありのままの自分として存在してよい
以上の言葉の中から、自分の恥を和らげるのに役立ちそうなものを選ぶ。
そして、自分の言葉に置き換える。
その際、その言葉と最も結びつきのある体験を想起する。
それは、幼い頃親から感じた愛情かもしれないし、学生の頃仲間と共有した体験かもしれない。
その時の体験を思い出し、何が見え、どんな音が聞こえ、どんな匂いがし、どんな手触りだったのかなど詳細に思い出す。
この言葉と体験を結びつける作業を、1日のどこかで実施することを習慣的に行う。
そうすることで、言葉と共にその時の体験をいつでも感じ取ることができる。
結果的に、自分が恥を感じた時、その言葉をすぐに取り出し和らげることができる。
ここまで「爆発的な怒り」グループに含まれる内に恥に基づく怒りについてみてきた。
最後のページでは「慢性的な怒り」グループに含まれる道徳的な怒りについて解説する。
参考・引用文献:ロナルド T.ポッターエフロン&パトリシア S.ポッターエフロン(著)藤野京子(監訳)(2021)アンガーマネジメント11の方法 怒りを上手に解消しよう,金剛出版.
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