怒りと上手に付き合うために【アンガーマネジメント】

心理学
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あなたは怒りを感じた時、どのような行動をとっているだろうか?

怒りの感情が大きければ大きいほど、またその行動が習慣化し生活の一部になるほどこの質問に答えることは難しくなる。

そもそも怒りは大切な感情である。

それは自分の不調や、異変を察知して変えようとするために生じる。

一方で怒りの感情のコントロールを誤ると、誰かを傷つけ関係性を壊したり、精神的な健康を損ねたり、自傷行為につながったりしてしまう。

怒りは付き合い方によって、味方にも敵にもなりうる

怒りのパターン

怒りの扱い方は一人一人異なっており、人によって繰り返し使っているパターンがある。

怒りをうまく使うためには、まず自分の怒りを知ることが重要である。

そのパターンを11の「怒りスタイル」としてまとめたのがポッターエフロン(2021)である。

11のスタイルは「隠された怒り」「爆発的な怒り」「慢性的な怒り」の大きく3つのグループに分けられる。

ここではそれぞれのグループから代表的なスタイルを一つずつ選び、その特徴と対処法についてみていく。

内に向けられる怒り(隠された怒りグループ)

まずは次の質問に答えていただきたい。

  • 人の気持ちを傷つけるのが好きではない
  • 人が怒ろうとも、自分は怒るべきでないと自分に言い聞かせている
  • 本当に求めているのは対立のない平和である
  • 怒ったり憤りを感じたりするとき、罪悪感を覚える
  • 自分に気遣うべきとわかってはいるが、そうするには忙し過ぎる
  • 人を傷つけない限り、自分が何をしようとも気にしない (ポッターエフロン,2021,P56)

これらの質問に3つ以上Yesの時、あなたは内に向けられる怒りのスタイルをもっている可能性がある。

さらに6つ全てにYesの時、あなたの人生にネガティブな影響を与えるような内に向けられる怒りスタイルをもっている可能性がある。

これらの質問はポッターエフロン(2021)P56の20の質問の内わずか6つを抜き出したものである。

多くにYesと答えた人はこのスタイルの怒りを習慣的に使っている可能性が高い。

内に向けられる怒りとは

内に向けられる怒りとは、怒りの気持ちを感じて、それを自分へ向けることをさす。

その結果、自分のことをないがしろにしたり、否定したり、時に身体的に傷つけてしまったりすることもある。

内に怒りを向ける人は、誰かに対して怒りを向けることは悪だと教えられてきた可能性がある。

また、誰かに否定されることを避けるため、自分で自分を罰するという手段をとってきたかもしれない。

怒りを自分に向け始めると、止めることが難しくなることがある。

それは、自分に怒りを向けたとしても、他者が何かを言い返してくることはなく、誰かと戦うよりも簡単に思えるからだ。

自分に怒りを向ける時の5つのパターン

このスタイルは他のスタイルよりも危険性が高いとされている。

なぜなら、自分の怒りに気付かずうまく扱えないことによって、知らず知らずのうちに自分を傷つけてしまっていることがあるからだ。

このスタイルにおいて、怒りを自分に向ける時、以下の5つのパターンがある。

  • 自分を無視すること
  • 自分を妨害すること
  • 自分を非難すること
  • 自分を攻撃すること
  • 自分を破壊すること

これらのパターンは自分に対して向けられる怒りが、どのような行動として現れているかを知る手がかかりとして活用できる。

ストレス(怒り)を感じた時、あなたはどの様な行動をとっているだろうか今一度思い出してみてほしい。

内に向けられる怒りとの付き合い方

内に向けられる怒りに対してどう対処することが良いのだろうか、以下具体的な方法を上げる。

自分を大切に扱う

自分よりも他者を優先させると結果的に自分のことを無視したり妨害したりすることになる。

そうならないよう、自分を大事に扱うことが重要である。

そのためにできることは以下の通りである。

  • 自分のことをさげすんだり、無視したりすることを自分が生活の中でどのように行なっているかを考える。また、「自分のことは後回しにしてよい」という考えは何に起因しているかを突き止める。
  • もし、自分の気持ちに気付く余裕がない生活を送っているのなら、速度を緩めて生活する。休日や食事の時間、寝る前の30分など時間を決め、その間は自分の気持ちを大切にする時間に充ててもいいかもしれない。
  • 他者だけでなく自分自身も価値あるものとして扱う必要があることに気付く。寝る前に、その日自分のためによいことを1つでもできたかを振り返る

怒りを客観的にとらえる

何かがうまくいかない時、その責任は自分にあると思うかもしれない。

また、幼少期親から自分の存在を否定されたり、ないがしろにされるような環境で育っているかもしれない。

これらの要因から、自分を非難したり攻撃してしまったりする場合、その怒りのパターンを変えるために次の方法が役に立つ。

  • 「悪いのは自分だ」と考える時、何をもってそう考えるのか根拠を書き出す。その根拠は誰がみてもその通りだと思うだろうか。実際に第3者に確認してもらうとよりいいだろう。
  • 今の方法で怒りを表現することを教えたのは誰かを思い出す。そして、あなたがその人を恐れる理由を考える。また、今でも本当にその人を恐れる必要があるのかも考える。
  • 自分自身を攻撃してしまう時、その頻度と強さを減らすことが重要である。どのような場面で攻撃がなされやすいのかに気付く。トリガーになっている人や言葉、音、匂いを明らかにする。それがわかったら、その時にしてしまう攻撃行動を他の行動に置き換える

ここまで「隠された怒り」グループに含まれる内に向けられる怒りについてみてきた。

次のページでは「爆発的な怒り」グループに含まれる恥に基づく怒りについて解説する。

参考・引用文献:ロナルド T.ポッターエフロン&パトリシア S.ポッターエフロン(著)藤野京子(監訳)(2021)アンガーマネジメント11の方法 怒りを上手に解消しよう,金剛出版.

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