Googleで実践された組織運営を学級経営に活かす

学校教育
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最高のチームを作る要因が明らかに

「最高のチームを作る要因は何か」を突き止めるため、チャールズ・デュヒッグはGoogleで5年にわたるプロジョクトに取り組んだ。

その調査の中で、明確な目標設定や相互責任の強化をはじめとする4つの因子の他に、それらの土台となると強調されたのが「心理的安全性」だった。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、大まかにいうと、「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のことである。

この、心理的安全性は、今日の教育における、インクルーシブ教育や子どもの多様性を尊重する教育に通じる部分がある。

さらに、心理的安全性が保障されているクラスでは、いじめや不登校の発生を未然に防ぐのはもちろん、授業での子どもたちの発言が活発になり成長を促すと考える。

心理的安全性をもたらす3つの行動

この心理的安全性はグループのリーダーによってつくられるとされる。

学級におけるリーダーは担任であり、その担任の働きかけが重要となるのだ。

集団において心理的安全性を生み出すためには、以下3つのリーダーによる行動が相互に関連する。

  • 土台をつくる
  • 参加を求める
  • 生産的に対応する

失敗を恐れないクラス作り

心理的安全性と密接に関わっているのが、集団に所属している人々の失敗に対する考え方である。

現に失敗を恐れる集団は、心理的安全性が低いことを示す最大のサインとされる。

この失敗を例に挙げながら、上記3つの行動について考える。

「土台をつくる」

土台をつくる上でリーダーに求められる最も重要なスキルとして、フレーミングがあげられている。

フレーミングとは思い込みや、信念のことを指す。

失敗に対する子どもたちのフレーミングがある。

それは、「失敗とは恥ずかしいこと」や「失敗すると叱られる」などネガティブなものであることが予想される。

そこで、教師にはそのネガティブなフレーミングを、ポジティブなものへリフレーミンングすることが求められる。

つまり、「失敗は成功の種である」や「失敗は賞賛されるものである」などと伝えていくことである。

教師はこのことをあらゆる場面で伝えていく。

例えばテスト返しの時、100点を称賛するだけでなく、クラスの学びにつながるミスを取り上げる(もちろん、ミスをした子どもの同意の上)などがあげられる。

教師が一貫して失敗の意義を伝えること、また行動で示すことで失敗に対するフレーミングが変化していき、土台ができあがっていく。

「参加を求める」

次に、参加を求めるとは、話し合いの場を設定し、その中で積極的に意見を述べるシステムを作るということである。

失敗を恐れない生産的な話し合いをするために、教師は子どもたちの“質問をする技術“を高めることが有効である。

よい質問をするための鉄則は以下の通りである。

  • あなたは答えを知らない
  • イエスかノーの答えを求めるような質問をしない
  • 相手が集中して考えを話せるように尋ねる

これらの鉄則を話し合いのルールとして設定したり、スキルを伝えたりする。

「生産的に対応する」

生産的に対応するとは、実際に子どもたちがとった行動に対して教師がする対応を指す。

この対応には、感謝を伝えたり、失敗から成果を生み出したり、違反に対して制裁措置をとったりすることが含まれる。

制裁措置と聞くと、力で押さえつけるようなイメージをもたれるかもしれないがそうではない。

「参加を求める」で述べたような、失敗に対する明確なルールを事前に示し、それを厳守するということである。

危険な行動や有害な行動に対する、公正な対応は心理的安全性が強化されることがわかっている。

子どもたちが失敗して良かったと思えるような結果を用意することが、教師に求められるといえる。

以上述べてきたことは特別なことではなく、実際に学級経営に取り入れてみえる先生方が多数存在するというのが筆者の感想である。

一方で、その技術は教師個々の技量に依存している部分もある。

学級経営の上手な先生の実践を概念化する上で、心理的安全性をクラスにもたらすためのリーダーの行動は役に立つと考える。

参考文献:エイミー・C・エドモンド(著)野津智子(訳)(2021)恐れのない組織[心理的安全性]が学習・イノベーション・成長をもたらす.英治出版株式会社.

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