怒りと上手に付き合うために【アンガーマネジメント】

心理学
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「〇〇するべきである」

あなたが「するべきである」と考えていることはいくつあるだろうか?

その数が多いほど、道徳的な怒りを頻繁に使っている可能性がある。

道徳的な怒り(慢性的な怒りグループ)

人は自分の価値観や信念を否定されたと感じる時に道徳的な怒りを抱く。

この道徳的な怒りを抱く人は、怒りを取り下げることが非常に難しい。

なぜなら、道徳的な怒りは「自分には怒る正当な理由がある」という信念に基づいて生じるからである。

その結果、相手を攻撃することを正当化し、相手より自分が優れていることを証明したり、相手に罪悪感を抱かせたりするまで怒りはおさまらない

道徳的な怒りを振りかざす前にすべきこと

道徳的な怒りを頻繁に用いる人は、「自分は正しくて相手は間違っている。」「自分は他人より優れている。」という自分の視点を中心に物事を判断してしまう傾向がある。

そこで、視点を増やしたり柔軟にしたりすることが、道徳的な怒りから自分を解放するにあたって重要になる。

具体的には、「謙虚になる」→「理解力を持つ」→「柔軟になる」→「選択的になる」という4つのステップで行う。

謙虚になる

謙虚な状態とは、自分の評価基準ではなく、相手のことを中心に置いて行動できる状態をさす。

自分は誰かと話す時、頭の中にどのような考えが浮かんでいるか、まずはその自動的に浮かんでくる考えに気づく。

そこで浮かんでくる考えが相手のことを非難する考えが多いことに気づいたら、次に、「相手の良いところ探し」をする。

この相手の良いところに目を向けることは、道徳的な怒りがわき上がってくる前から習慣的に行うことが望ましい。

理解力を持つ

「良いところ探し」をするためには、相手に関する情報を集めることも重要である。

最も簡単な方法は相手が何に関心を持っているのか、その行動をした背景にあるものは何かを質問することだ。

質問は5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を使って質問するとより深く相手のことを知ることができる

ここで重要なことは「自分だったら…」という考えや判断は置いておくということである。

柔軟になる

道徳的に怒る人は、自分自身を追い込むことに長けている。

なぜなら、冒頭でも書いたように、「〇〇するべきである」という考えによって、自分自身の行動や思考に制限をかけてしまうからである。

この「〇〇するべきである」という考えは、認知行動療法(CBT)において「すべき思考」という認知の歪みとして介入の対象となる。

この「すべき思考」を和らげる方法として以下の手順がある。

  1. 自分がするべきだと考えていることのリストをつくる。
  2. リストの「するべき」を「もできる」に置き換える。
  3. 「するべき」リストを声に出して読む。
  4. 「もできる」リストを声に出して読む。
  5. 「もできる」という言葉に耳を傾け、そのことを本当にしたいことなのかを決める。
  6. 人がするべきだと考えることのリストをつくる。同じように「もできる」に置き換える。それするかしないか選択するのは相手であるということを心に留める。 (ポッターエフロン,2021,P153を参考に記述)

選択的になる

最後に、挑まれた戦い全てに受けて立つ必要はないということである。

怒りを使うか使わないかを選択するのは自分である。

道徳的に怒る人は、あらゆる場面で怒りを使うという選択をする。

その頻度が増えれば増えるほど、自分の人生を歩むことが難しくなる。

怒りをうまく使えるようになるために、怒りを使える回数を「1週間に3回まで」のように決めておく方法がある。

無用な戦いに怒りを使うのではなく、本当に重要な場面で使うことが重要である。

参考・引用文献:ロナルド T.ポッターエフロン&パトリシア S.ポッターエフロン(著)藤野京子(監訳)(2021)アンガーマネジメント11の方法 怒りを上手に解消しよう,金剛出版.

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