ここでは、発達相談や1歳半健診、3歳児健診でも使用されることのある新版K式発達検査を通してどの様なことがわかるのか、その一部を紹介する。
目で見るのが得意か、耳で聴くのが得意か
人は情報を取り入れる際、様々な感覚を活用する。
学習において、特に重要視されるのが視覚と聴覚である。
これら2つの感覚の活用には得意、不得意がある。
それは、英単語を覚えるとき、単語帳で見たほうが覚えやすいという人もいれば、リスニングで聴いたほうが覚えやすいという人もいることからわかる。
発達検査によって、この得意、不得意が幼少期の段階である程度わかってしまう。
例えば、新版K式発達検査には、積み木を使った課題がある。
そこでは「トラック」や「家」を作ることが要求される。
「トラック」は作成手順が示され、「ブッブー」と走らせるなど具体的にイメージがしやすい課題である。
「家」は作成手順が示されず、完成形は「トラック」より複雑で難易度が高い、ただ、使うつみきの数は「トラック」より少ない。
この課題において、「トラック」はできないが「家」はできるという子がいる。
こういった子は「家」という完成形の全体を視覚的に把握し(「トラック」より「家」の方が積み木の数が少ない分、全体が把握しやすい。)再現することでができたと考えられる。
ここから、その子は目で見て情報を得ることが得意であることが想定される。
この課題の他にも「積み木たたき」という課題では耳から情報を取り入れることの得意、不得意をみることができるなど、情報をどのように取り入れているのか、そのこの特徴を明らかにする課題が用意されている。
部分と全体(自閉症)
「部分から全体をとらえる力の弱さ」は自閉症の特徴としてあげられることがある。
この特徴の有無についても、発達検査によって明らかになる可能性がある。
「模様構成」という課題では、提示された完成形と同じ模様になるよう、色のついた積み木を組み合わせる必要がる。
この複数の積み木を組み合わせて模様を作る時、全体の模様と、それを構成する一つ一つの積み木の配置をとらえることが求められる。
一つの積み木にのみ注意が向いてしまったり、全体の構成を考えることなく一部分から作り始めたりすると、この課題をクリアすることが難しくなる。
発達検査では、検査を受けた子どもの特徴をとらえ、その後の支援や環境整備に役立つ情報が得られる。
効果的に活用することで、子どもがつまずく機会を減らし、成功体験を増やすことができるのだ。
参考・引用文献:大島剛・川畑隆・伏見真里子・笹川宏樹・梁川惠・衣斐哲臣・菅野道英・宮井研治・大谷多加志・井口絹世・長嶋宏美(2017)発達相談と新版K式発達検査 子ども・家族支援に役立つ知恵と工夫,明石書店.
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